ケッペンの気候区分

ケッペンの気候区分とは、気候学者のW.P.ケッペン(ドイツ、1846~1940)によって考案された気候の分類方法である。植生に着目しており、気温と降水量で分類を決定する。

誘導:各地域の気候区分を知りたい方は、参考1をご覧ください。

気候区分の判定方法

別紙(PDF)をご覧ください。

各気候区分の概要

大まかにはA(熱帯)、B(乾燥帯)、C(温帯)、D(冷帯)、E(寒帯)の5つの気候帯からなる。各気候帯はさらに細分される。

A(熱帯)

名前の通り「熱い(暑い)」ところである。

Af(熱帯雨林気候) 気温の年較差が小さく年中高温である。また、一年を通して雨が多い。熱帯雨林が発達。インドネシア、シンガポール、アマゾン川流域の一部、アフリカ大陸中部などに見られる。

Am(熱帯モンスーン気候/弱い乾季のある熱帯雨林気候) 気候はAfに似ているが、弱い乾季がある。アマゾン川流域の一部、フィリピンなどで見られる。

Aw(サバナ気候) 雨季(夏)と乾季(冬)がある。アフリカの野生動物がたくさんいるようなところが、まさにこの気候区分に属する。

B(乾燥帯)

乾燥している地帯である。温度とは無関係に、降水量の少ない地域は乾燥帯と定められる。人間が定住しづらい環境で、非居住地域(アネクメーネ)が多い。

BW(砂漠気候) 数ある中で最も乾燥している(降水量が少ない)気候区がこれである。アフリカ北部、アラビア半島、中央アジア、オーストラリア内陸部などがこの気候区にあたる。

BS(ステップ気候) 砂漠気候に次いで乾燥している気候区。ステップ(短い草の草原)はこの気候区の地域で見られる。肥沃な土壌であるチェルノーゼムが広がっていることが多く、農業に適している。

C(温帯)

温暖なところ。人間にとっては最も住みやすいところだろう。

Cfa(温暖湿潤気候) 気温の年較差が大きく四季が見られる。日本の大部分(北海道、一部の山岳地域や島嶼部などを除く)や、アメリカ合衆国東部、アルゼンチンのブエノスアイレス周辺がこの気候区にあたる。

Cfb(西岸海洋性気候) Cfaよりもやや涼しく、住みやすい気候である。ヨーロッパやニュージーランドなどで見られる。

Cw(温暖冬季少雨気候) 温暖であるが、冬季はかなり乾燥する。東南アジアや中国内陸部などで見られる。

Cs(地中海性気候) 温暖で、夏季に乾燥する。名前の通り地中海沿岸で見られるほか、オーストラリア大陸南岸や北アメリカ大陸西岸の一部地域にも存在する。

D(冷帯/亜寒帯)

夏はそれほど低温でもないが、冬は氷点下の日が続くような地域。気温の年較差が大きい。

Df(冷帯湿潤気候) 日本国内では北海道が、海外ではカナダやロシアの広い範囲などがこの気候区分にあたる。タイガと呼ばれる針葉樹林が発達している。また、酪農や麦類の生産が盛んであるところが多い。

Dw(冷帯冬季少雨気候) 冬の寒さが非常に厳しい。一方、夏は10℃以上の温度になり、温度の年較差が大きい。ロシア東部に分布する。

Ds(高地地中海性気候) 温度の傾向はDfやDwに似通っているが、夏に乾燥し冬に湿潤となる。北アメリカや西アジアの限られた地域でのみ見られる。

E(寒帯)

地球で最も寒い地域はこの寒帯に該当する。乾燥帯と並んで非居住地域(アネクメーネ)が多い。

ET(ツンドラ気候) 最暖月の平均気温が0℃~10℃で、年中寒冷である。永久凍土が広がるが、気温が0℃を上回る夏には土壌の表面部分のみが融け、植物が育つ。トナカイの遊牧が盛んに行われている。カナダやロシアの北極に近い地域で見られる。

EF(氷雪気候) 最暖月の平均気温が0℃未満で、きわめて寒冷である。地面は一年中氷雪で覆われ、融けることはない。南極やグリーンランド内陸部がこの気候区分にあたる。人間が定住するのは困難である。動植物もわずかにしか見られない。

H(高山気候)

ケッペンの気候区分には含まれないが、よく使われる気候帯にH(高山気候)がある。これはトレワーサ(アメリカ、1896~1984)らによって考え出されたもので、一年を通して冷涼で気温の年較差が小さい、標高の高い地域で見られる気候を指し示している。たとえば、ボリビアのラパス、エクアドルのキトがこの高山気候に該当するとされている。

参考

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