気温の逓減

 標高が上がれば上がるほど、気温は下がっていく。富士山を見てみれば、春を迎えても冠雪している。これは麓に比べてずっと気温が低いからだ。

気温逓減率

 標高が上がれば上がるほど温度は下がっていくが、その下がり具合を表すのが気温逓減率である。この率は空気の湿度に依存しており、湿度が上がるほど逓減率は小さくなる。
 乾燥空気では100メートル標高が上がるごとに1℃気温が下がると理論的に導かれる(つまり逓減率は1℃/100m)。ただ、実際の空気は、多かれ少なかれ水分を含んでいるのでそれより低い値となり、およそ0.5〜0.7℃/100mほどである。

気温逓減率と高山気候

 トレワーサが考え出した気候区分に高山気候(H)がある。高山気候に含まれる地域は、ケッペンの気候区分の定量的な定義に従うと、温帯(C)や冷帯(D)などに区分されることが多い。しかし、高山気候の地域では、気温の年較差が著しく小さいなど、ケッペンの気候区分中の温帯や冷帯では想定されなかったような気候特性が見られる。
 このような気候特性は気温の逓減によって生じている。気温の年較差が小さいケッペンの気候区分の気候帯に熱帯(A)がある。熱帯が分布するような低緯度地域に標高の高い場所があったとすると、気温そのものは気温逓減率に従って下がるものの、年較差が小さいという熱帯の気候特性は維持される。このような場所が高山気候を示すことになる。

 例のひとつとして南米・ボリビアの首都ラパスに着目してみよう。ラパスは南緯16度、標高3600メートルという場所に位置している。南緯16度は熱帯のよく見られる緯度だが、高地に位置するラパスの年平均気温は10℃を下回る。
 このラパスの月ごとの気温を右図の青線に示している。気温逓減率を0.6℃/100mとすると、標高差3600mでは21.6℃の気温差をもたらす。この気温差をラパスの気温に足して、仮にラパスが標高0メートルにあるものとしよう。そうすると、右図の赤線のようになる。これはまさしく熱帯の温度変化だ。

ノート
地理
トップに戻る