サロベツ原野のかたわらにある稚咲内集落へ行く

サロベツ原野。人の手が入っていない自然が広がる一帯だが、そのかたわらの海岸近くに「稚咲内(わかさかない)」という集落がある。原野などに囲まれたこの集落がどんなところなのか、夏のある日に訪問した。

豊富駅

7時18分、豊富駅で、稚内方面からの特急列車を降りる。ほかにもう一人が降りる。

駅にはカフェや観光案内所が併設されているが、さすがにこの時間にはまだ営業を始めていない。

稚咲内方面へのバスはこの駅から、夏場は3往復(冬場は2往復)出ている。1本目の発車時刻は8時30分。まだ少し時間があるので、駅の近くをぶらぶらして時間をつぶす。

駅に戻ると、稚咲内方面のバスが駅前に停まっていた。なぜか特急バス用の車両で、全面には「特急はぼろ号」と掲示されている。さっそく乗車する。4列シートの大型バス、ほかに乗客はおらず、車内はがらんとしている。

稚咲内行きのバス

8時30分、豊富駅を出発。豊富町の中心街を抜け、道道444号線へ。畑の多い地帯を抜け、サロベツ原野の中へ。一面の草原が左右に広がる。トラックとよくすれ違う。

原野を抜けると、再び畑の多い地帯へ。民家などの建物もぽつぽつと建っている。途中、いくつかの停留所を通り過ぎるが、乗り降りする人はいない。

そのあと、道路は林の中に入っていく。「稚咲内砂丘林」と呼ばれるトドマツなどから構成される林だ。

林を抜けると、すぐに家々の集まりが見えてくる。ここが稚咲内集落だ。集落内には「稚咲内第一」という停留所があるが、このバスはその次の海岸近くにある「稚咲内第二」というところが終点。いったん集落を通り過ぎて、終点まで乗車する。

8時49分、終点の稚咲内第二停留所に到着。特急バス用の車両で車内に運賃表示器はなく、運転手から運賃を告げられてその額を払って降車する。

稚咲内第2停留所で降車
稚咲内第2停留所の標柱

停留所は集落より数百メートル西側、道道444号線と道道106号線(オロロンライン)の交差点付近に位置している。バスは、交差点を右に曲がって、どこかへ走り去っていく。およそ40分後にこの停留所に折り返し便が設定されており、その時間までどこかで待機するのだろう。

第二停留所付近を散策する。漁港が近くにある。また、漁港から200メートルほど離れたところに、民家らしき建物が数軒建っている。人が常住している建物なのか、あるいは番屋や物置の類なのか、どちらかは分からない。

稚咲内漁港
漁港から交差点へつながる道
漁港近くの建物

バスで走ってきた道を戻り、稚咲内第一停留所の方へ。草地に挟まれた道路を、500メートルほど歩く。

稚咲内第二停留所から第一停留所へ(道道444号線)

砂丘林の手前、南北に集落が広がっている。ざっと辺りを見渡すと、民家が20軒ほど。2015年の国勢調査によると、大字としての「稚咲内」には36世帯86人が住んでいるそうだ。

稚咲内集落

道道444号線をはずれ、集落内の道を南の方へ。

左手に白い鳥居が見えてくる。「稚咲内神社」という神社で、夏にはここで祭が行われるそうだ。

稚咲内集落の南側の道
稚咲内神社の鳥居

さらに南へ歩いていくと、学校の校舎が見えてくる。門柱の表札には「豊富町立稚咲内小学校」と書かれている。すでに閉校してしまったそうだ。たしかに、校庭や校舎には、子供たちの活動している気配がない。一方で、校舎は公民館のように再利用されているらしく、放置され荒れ果てているという感じでもない。

稚咲内小学校

集落の中に商店は見当たらず、飲料の自動販売機が2台ほどあるのみ。日常的な買物は、車で15分ほどの豊富町の中心地区に依存していると推測される。

時刻は9時20分ごろ、集落内はほとんど人通りがなく、ここまで見かけた人は一人だけだ。

稚咲内集落の北側の道

そろそろ帰りのバスが来る時間なので、稚咲内第一停留所へ。しばらくして、豊富駅行きのバスが海岸の方からやって来る。もちろん、車両は先ほどと同じ「はぼろ号」だ。

豊富駅行きのバス
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